特定社会保険労務士今井和寿事務所 の日記
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年金と所得の再分配
2019.07.03
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国の政策に求められる機能として、所得の再分配があります。
(富の再分配と書かれていることもあります。)
市場経済の国の場合、多く収入を得る人、多くの資産を蓄えた人がいる一方で、収入の少ない人、資産の少ない人、収入のない人、資産のない人がいます。
収入の少ない人、資産の少ない人、収入のない人、資産のない人の生活を守るために、国は政策として経済的に支援します。
所得の再分配とは平たく言えば、多く収入を得る人、多くの資産を蓄えた人から国に納められたお金を、収入の少ない人、資産の少ない人、収入のない人、資産のない人に渡す機能だと考えます。
所得の再分配には、収入や資産の多い少ないで金額を変える累進課税や医療や介護の保険料などが例として挙げられます。
さて、最近いろいろ議論されている公的年金ですが、これを所得の再分配として評価するといかがでしょうか。
国民年金は収入が少ない場合には保険料の免除の制度があります。
厚生年金は収入の多い少ないで、保険料が多くなったり少なくなったりする仕組みがあります。
しかし、これらは、収入の多い少ないに完全に対応しているわけではありません。
また、老後に受給する老齢年金は、支払った保険料に応じて受給金額が決まる仕組みになっていますから、所得の再分配とは言えないでしょう。
(お給料をたくさんもらっていた人は、老後にも多くのお金をもらえることになっていますから。)
年金を所得の再分配という考え方から論じると、違った議論になるかもしれません。 (年金制度の議論だけには収まらないでしょう。)